内定式。東京、朝早く起きて、飛行機。私は新幹線の方がすき。電車だったら、長時間でもオッケー。景色をずっと見てる、たまに頭の体操で本読んでる。そういうダラダラ感、誰にも統制されていない感じ、凄く好きだ。朝、空港に着いたらすっごい数の内定者たち、明らかに、スーツの着こなし、気だるさ、若々しさ、そんなので気持ち悪いほど見ていて分かる。他の搭乗者たちも感じただろう、ああ内定式の関係か、と。それがとても恥ずべきことのように思えて、その場から居なくなってしまいたかった。
今更内定ブルー
けれど、東京着いて、欲しかったDEMELのソリッドチョコ猫ラベルを日本橋高島屋で彼のと私のと二箱入して、目の前にある丸善行って八重洲ブックセンター行って、結局迷いに迷ってミラン・クンデラ『不滅』(集英社文庫)と中谷美紀インド旅行記3』(幻冬舎文庫)を手にとって、スタバでゼミの資料読んで時間潰して、内定式のことを頭の片隅に追いやって、無心の状態で本社ビルに行ったら、自己の努力のお陰か不安定な気持ちが治まって、他の内定者たちと話が弾んでしまった。
話題はいつも天候のことから。そんなイギリス人の定型を真似た訳ではないけれど、関東と九州では全然違うから、話題にしやすくて、こちらは少し寒いですね、九州は台風が来ているのだとか、飛行機で?飛びました?と続く。誰にも交わろうとしないこの表面的な会話で一体何が作ることができるのだろうかという思考をわざわざ停止して、取り繕う。誰も取り繕っているとは思わない。
ああ、内定ブルー
時々届く、向こうも内定式の彼からくだらない、くっだらないメールにニヤニヤした時だけなんだか私が帰ってくるような気がしていた。
明日会うことになった。それが嬉しい。