起きてしまった私のために

発熱の一歩手前、寒気と闘っていつもの布団の上に毛布、私は暑くて起きる。眠れない。こんなとき聴ける音楽がない。それはとても寂しいことだ。優しさに包まれたなら、優しさに包まれたなら…きっと。
酷い空腹に気が狂いそうになりながら、身体を休めるときは必ず何かを口にした方が良いのだと今更ながら確認する。思えば朝作ってマフィンを二つ、朝昼と食べただけだった。新鮮な玉葱が食べたい。パプリカやベビーリーフ、ドレッシングはノンオイルの紫蘇味で。まるで古い書物を摂取するように。
…優しい視線に、思わず疲れた視線を送って、何か言われる前に誤魔化すように言った『お疲れ様』。君のことしか考えていなかった。隣りにいた知人の不審な目には一切取り合わず、君の敏感な心に寄り添いたくなる自分を叱咤する。怖かった。君はいつもそうだ、何かから逃げ出す私をしょうがないなという諦めの視線で見送ってくれる。…優しさが怖い。不安な気持ちをひどく見透かして、いつも先手に回ってくれる。甘えることしかできない私は。それに慣れた私は。
君と私で共通の友人を持つことで何かが瓦解しようとしていることに、変化が起ころうとしていることに、恐怖を感じてしまう。君と私の空間はいつもぬるま湯で、心地よくて、誰にも邪魔されないものだったはずだ。
私は、いつも波に揺られて不安定な舟に乗っている。
ジョージア。マイウェイ