早計

友だちが来て、秋の香りが心地よく優しく漂う食卓が整った。友だちから栗ご飯をいただいて、私は彼女にサツマイモご飯をお出しして、温かい大根と鶏の胸肉のスープを大盛りに注いだ。ローカロリー、季節に合った食材で、お腹や目に嬉しい内容になったはず!
ご飯を食べる時必ず幸せを感じるんだけど、今日は自分で作ったこともあり、紅茶も美味しく淹れられたこともプラスして、本当に幸せだった。
紅茶とクッキーをおやつに添えた時そんな私の空気をぶち壊す彼女の話し出した自分の悩みに、というか、彼女の友人の悩みに悩む彼女の姿に少なからず憤りを感じてしまった。でも、押しとどめて、ふんふん、はあはあ、聞いてみれば、その悩みが深刻で深刻過ぎて、一気にそんな感情が霧散した。大人気ないなあ私。それから、彼女の悩みを聞いて、でもその悩みは正直言って建設的ではないから、それをオブラートに包んで言って、あんまり悩み過ぎると自分が壊れちゃうから人の悩みを抱えられないと思ったら無責任だけど投げ出した方がいいんじゃない?と紅茶を注ぐ。ミイラ盗りがミイラになる、じゃないけど、悩むくらい辛いんならそれからちょっと離れて、例えば歩いたり、買い物したり、ご飯食べたり、歌ったり、甘いもの食べたりして、気を紛らわせたら、と私の早計さを挽回するように穏やかに口の端に乗せた。
その前に漂った秋の風は一瞬にして吹き消され、後に残ったのはどうしようもない苦い思いだったのでした。