光太郎


わたくしの手に重くもたれて

泣きやまぬ童女のやうに慟哭する

――わたしもうぢき駄目になる


智恵子抄高村光太郎、「山麓の二人」


 呪いの言葉を吐きたくなる時、持病の自己嫌悪に非常に煩わされる時、私は静かに舌の上で言葉を転がせる。『――わたしもうぢき駄目になる』智恵子の慟哭に、何か酷いことが起きそうだった胸の内の火種が、燻りながら鎮まっていくのを感じてる。
 今の処方箋はこれ。次の処方箋が要る。