神戸

神戸自体についての思い出はここに記しませんので悪しからず。
そう、なんと言っても旅で思い出されるのは、母の愚痴の多さでした。ある決意をした母なので、ある程度それ関連は来るんだろうなと思っていたけれど予想以上に母の心はそれに支配されていて、昼は強気で相手の批判ばかりしていたのに、お酒が入って泣き出して『母親として失格ね』と漏らし、夜は完璧に弱気になって沈んでいた。父に10年以上育てられた私は、誰かの窮地のときに必要な言葉を思い付けず、今回も黙って見守ることですべてを許していると言いたかったんだけど、きっと伝わらなかっただろう。10年一緒にいなかったつけは、こんなところで現れる。母はこんな態度が苦手だった筈で、言葉に表して欲しがっていたんだ。そうして言葉に出来ない父に、母は不安を感じたんだ。10年の重みは、仕方ないくらいに深い。私はもうなんとも思っていないのだと言えたらよかった。
考え方の違いも、明るさも、顔も、まったく私とは似ていないのだということを知る。もどかしい。