丑松

.島崎藤村『破戒』新潮文庫
社会小説なのか、私小説なのか、判断はついていないが、私にとっては社会小説だった。近代や古典というジャンルのものは、現代からしてみれば、一種の"社会性"を帯びているように感じている。現代では見えなくなった階級的なもの、身分のようなもの、差別、…会話や描写の端々にあるそう言ったものを敏感に読んでしまうからだ。けれど、こちらは扱っているものが部落差別というものなので社会派小説だと思ってしまった。
丑松の最後は、子供たちの微かな未来への展望を見せて終わって、まるで今は無理だけどあの子供たちが大人になったら世界は変わってるかもしれないよって言ってるみたいだった。